2018年にロシアで開催されたサッカーワールドカップ、2019年に日本で開催されるラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピックなど、ここ数年は国際的なスポーツの祭典が目白押しである。

それに伴って、スポーツに対する需要が様々なシチュエーションに応じて高まっているのではないだろうか。その中でも、ひときわ需要を高めているのは、働き手側の需要だろう。

国際大会を運営するにあたって、多くのスポーツを支える側の人材が必要になる。

また、国際大会の盛り上がりに伴って、スポーツ関連産業の人材の需要もひときわ高まっている。

スポーツの仕事というと、選手をケアするトレーナーや、プロスポーツチームを運営するフロントスタッフを想像しがちであるが、その他スポーツ関連企業にはそれ以上に面白い仕事が溢れている。

本記事では、多くの人が知らないスポーツに関連した会社を5つ抜粋して紹介する。

SAP社(ドイツ)

SAP社は、ドイツヴァルドルフに拠点を置くヨーロッパ最大級のソフトウェア会社だ。
SAP社は2013年からスポーツ・エンターテイメント産業向けのソリューションをグローバル市場で提供している。

その実績として、アメリカのメジャーリーグベースボール(MLB)、バスケットボール連盟(NBA)、ドイツサッカー連盟などのスポーツ組織、F1のメルセデス、マクラーレンといった有名チームなどへの支援実績がある。

具体的には、「Match Insight」や、「SAP Sports One」といったビッグデータ解析やプロスポーツチーム内のデータを管理するツールまたはクラウドサービスを通じて、プロスポーツチームが直面する課題に対して広範囲でソリューションを提供している。

また、Jリーグでも選手ごとの走行距離やプレイエリアのヒートマップの解析、パスコースといったプレイ情報が試合中にリアルタイムで提示できるようになったのも同社のデータ提供によるものだ。

同社はスポーツをする側だけでなく、見る側、支える側にも大きくソリューションを提供している。

今後ビッグデータがスポーツ産業における大きな鍵の一つになると考えられる中で、スポーツを裏側で牽引する一大企業の中核を担うこと以上に興味深い仕事はないかもしれない。

Microsoft社(アメリカ)

Microsoft社は、言わずと知れたデジタルデバイスとクラウドの会社だ。薄型のタブレットPCのsurfaceやOffice 365は世間の誰もが知っている同社の製品の一つだろう。

同社は2020年の東京五輪に向けても非常に大きな取り組みを実施している。

同社は、札幌市においてオープンデータ事業の一環で競技場データと競技データを収集する。

また、競技関連データだけでなく観光や交通データも収集し、データを活用した情報整理を進め、外国人を含めた観光事業の加速を図る核を担っている。

東京五輪を見据え、それまでに開催される競技大会を通してデータを集積し、五輪開催時のおもてなしの向上に努める構えだ。

また同社は、ソチオリンピック時にまた別の形でユーザー体験の向上に貢献している。

ソチオリンピックのガイドをwindows phone上に反映することによって、大会期間中の正確な競技スケジュール、チケット購入、旅行の計画、地図の利用など、様々な情報がwindows phoneを通して、使用することが可能になっていた。

加えて、日本eスポーツ連合への加盟も実施し、今後新たな市場に対して参入の構えを確実に見せている。

従来のスポーツ産業への寄与だけでなく、新たなスポーツ産業への貢献をしていけるのはMicrosoftの強みなのかもしれない。

Perform Group社(イギリス)

dazn ダゾーン

この会社名を聞いても、あまりパッとサービスがイメージできる人は少ないだろう。

それでは動画配信サービスというと、多くの人がわかるのではないだろうか。

Perform Groupはイギリスを拠点としてデジタルプラットフォームを展開している国際的なスポーツメディア企業である。

また、日本では2017年にリリース「DAZN」というサービスで一気に地名度が上がった会社だ。Jリーグと10年間で2100億円という大型の放映権契約を結んだことで大きな話題になったことも記憶に新しい。

この金額は、2016年の「スカパー」が結んでいた契約の約4倍以上の額であると言われている。

今までは、スポーツの試合を中心に発信をしていたが、世界への拡大という目標を達成するために、ドキュメンタリーやトークショー、ポッドキャストなどオリジナルのライフスタイルコンテンツの提供を開始しようとしている。

シーズンが終わってお気に入りのスポーツを見なくなった時に、ユーザーへ価値を生むための施策の一環と言えるだろう。

同社は、「ファンファースト」をコンセプトにしている会社として、機能性や柔軟性に常に投資をし続けている。

従来のペイTVでは入会やセットアップに2~3日を要していたが、DAZNではものの3~5分で完了してしまう。少しでも見たいと思った時に発する熱を冷まさないように、契約までの簡素さとスピードを実現することで、ユーザーニーズを抑えていると言えるだろう。

技術とビジネスモデル、サービスの強みを生かして、スポーツコンテンツにおけるイノベーションを起こしている。

IBM社(アメリカ)

言わずと知れた、大企業であるIBM。 International Business Machines Corporationの略で、民間法人や公的機関向けのソフトウェアを提供するアメリカのニューヨークに拠点を置く企業である。

同社は、企業として「スポーツを文化として醸成する」しようとする姿勢をとっており、ここ20年以上様々なスポーツに対して、協賛するだけでなく大会を支えるテクノロジーを提供している。

テニスのウィンブルドン選手権では20年ほどスポンサードを続けていたり、ゴルフのマスターズでも20年以上の長期にわたる取り組みを行なっている。

また、「Watson(ワトソン)」の活用があげられる。人工知能の技術を用いた認知型コンピューティングシステムであるワトソンを活用して、スポーツビジネスを展開しようとしている。

社内にスポーツに特化した部隊があるわけではないが、「IBM Sports」の名の下に、プロジェクトの発足に応じて、組織内で連携を取り活動を行なっている。

そのIBM Sportsでは、下記の3つの柱を三位一体で実現することをポリシーとして置いている。

1.ファンのエンゲージメントをどう作り上げるか
2.チームのパフォーマンスをどう強化するか
3.スタジアムなどの会場(ベニュー)をどのように最適化するか

その先進的な事例として、2018年5月に、同社と清水エスパルスがタッグを組み、AIやクラウドといったテクノロジーだけでなく、清水エスパルスの本拠地であるIAIスタジアム日本平にてテクノロジーを活用したサービス・製品を試作するアクセラレータープログラムの提供を行うことを発表した。

IBMリソースとプロスポーツチーム リソースを活用したオープンイノベーションが新たに創出されうるような取り組みを行おうとしている。

DeNA社(日本)

同社は、2006年にリリースされたモバゲーや、プロ野球チームの横浜DeNAベイスターズを買収したこともあり、知らない人がいないほど成長した日本を代表するIT企業である。

横浜DeNAベイスターズは、経営陣の再構成や、方針・施策が功を奏し、観客動員数も純利益も非常に好調である。

2017年には、日本のプロバスケットボールリーグであるBリーグの川崎ブレイブサンダースを親会社の東芝より譲渡を受けると発表した。

これは、同社が掲げる「YOKOHAMAスポーツタウン構想」の一環であるとの見方もあ流。今後のスポーツ産業化をリードし、横浜からスポーツビジネスの基盤を創出していくなど、スポーツを通した経済圏やまちづくりを進めていく見通しである。

この取り組みは、チームの運営だけではなく、まちづくりや新たなビジネスの基盤を創るという、非常に大きなスケールでの取り組みである。

行政やパートナー企業も複数社が協力して進めようとしているプロジェクトであるため、スポーツビジネスに関わる組織または個人からの注目度も高い。

まとめ

スポーツ産業は、メーカーやプロスポーツチーム だけでなく、知らないだけで非常に多くの会社が関わっていることをお伝えできたのではないだろうか。

スポーツには関係なさそうではあるが、実はスポーツの発展を影で大いに支えているといった会社もまた、非常に多い。一般的に、toC向け(一般消費者・個人向け)のサービスを提供する会社は、認知をされやすいのだが、toB向け(企業向け)のサービスを提供する事業体は、思いの外認知がされにくい。

しかし、スポーツ発展を根幹で支えているのは、今回紹介したIBMやSAPといったテクノロジーカンパニーであったりする。

もしかすると皆さんが知っている身近な企業が、実は影でスポーツを支えているといったこともあるかもしれない。

まだまだ情報が開示されていないところも多いが、改めて一度調べてみてはいかがだろうか。

(編集:Sports Job Journal 編集部)