「イスラエル」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか。紛争、中東、ガザなどといった危険かつ少々浮世離れした状況を思い浮かべる方が多いのではないだろうか。

実際、イスラエルの危険なエリアはごく一部であり、平穏なエリアがほとんである。
また、イスラエルのテクノロジーは非常にレベルが高く、毎年800-1000社のスタートアップが生まれている。

その中でも、イスラエル国内では、とりわけスポーツテックの領域に対する注目度が高まっている。2012年に61社であった、スポーツテックカンパニーの数が2017年現在では103社と増加している。

会社の数もさることながら、イスラエル国からのスポーツテック への関心度も高く、イスラエルのスタートアップ代表団の中に、スポーツテック カンパニーも選抜されているなど、国を挙げた注目を感じることができる。

本記事では、そんなスタートアップ大国イスラエルのなかでも、とりわけ注目されているスポーツテックカンパニー事情とイスラエルのスタートアップ情報をご紹介して行く。

盛り上がりがすごい!イスラエルのスタートアップ事情

イスラエルの成長の源泉は「スタートアップ」にあるといっても過言ではない。イスラエルは国土の6割が砂漠で、恵まれたエネルギー資源がある国ではないため、国家の資源は人材のみと言える。

資源が乏しいため、人材がイノベーションを起こさなければ国としての成長もないという環境なのである。

だからこそ、イスラエル国内では、スタートアップを支援する環境を整備しているのである。

イスラエル第二の都市であるテルアビブは、世界の20のスタートアップエコシステム情報をランキングしたコンポーネント・インデックス「Global Startup Ecosystem Report」(2017年)で第6位にランクインしている。

このように世界的にも、イスラエルはスタートアップが生まれる環境としても、実力でも認められているスタートアップ大国なのである。

また、世界一のサイバーセキュリティ部隊を持つ同国は、2020年の東京五輪に向けたサイバーセキュリティにおける協力をする方針で一致した。このように、同国は日本とも近しい関係にあたることがお分かりいただけただろう。

イスラエルの中でもスポーツテック ?

イスラエルでは、2016年にインテルに買収された3Dリプレイ技術のリプレイ・テクノロジーズ(Replay Technologies)や、2018年の始めにナイキが買収したインヴァーテックス(Invertex)など大手企業に買収されるケースも出てきている。

上記だけでなく、幅広いスポーツテックカンパニーが同国では生まれている。
簡単ではあるが3社を紹介する。

SmarterTV

2014年に設立された「SmarterTV」は、画像コンテンツの機械ベースの理解から生まれたライブのクリック可能なビデオを活用し、ファンのインタラクティブな視聴体験を作り出すことによって、ライブ放送を再定義することを実現している。

FanPassTick

2015年に創設された「FanPassTick」は、購買者がゲームを観戦できない場合、スポーツクラブがチケットを再販できるモバイルアプリを開発した。

同社の技術は、不正なチケットを排除し、スキャナーを減らし、チームの収入を増やすように設計されている。

そのため、急な価格高騰を避けることができ、売上に関する機会損失を減少させることができる。

Pico

2014年に設立された「Pico」は、企業のブランド認知度向上とファンエンゲージメントの促進をサポートするサービスを運営している。

スポーツチームを念頭に設計された同社のテクノロジーは、ブランドがファンのユーザー製作コンテンツを見つけたり、ファンとコミュニケーションしたり、行動を促したりすることを可能にする。

独自のパーソナライズされた経験を作り出すために、PicoはAIとチャットボット技術を活用している。

上記以外にも、AR技術を駆使したグラスを製作しているRideOn社やEvrysight社、VR技術を駆使しジョギングを仮想空間にて行うことができるサービスを提供しているMoonrun社、競技者の競技動画を分析するPlaysight社など多岐に渡るテクノロジーの活用が進んでいる。

イスラエルのスポーツテック カンパニー事情

現在の、イスラエル国内で立ち上がっているスポーツスタットアップはまだまだ若い。

というのも、そのほとんどが設立されてまだ5年以内の企業ばかりである。加えて、103社中の78社が実に1-10名の規模である。

一方で、資金調達規模が2014年当時は、各社約37万5,000ドルが平均だったのに対し、2017年末には、平均70万ドル以上の資金調達規模まで拡大している。

この背景としては、シードラウンドでの調達に加え、シリーズラウンドでの資金調達を行えるスタートアップが増えたことが挙げられる。

また、IPOやM&Aも近年増加傾向にあり、Intel社がReplay Technologies社を買収した際など、その額の大きさが話題となった。(1億7500万ドルでM&Aを実施)

今後も目を離せない!イスラエルのスポーツテックカンパニー

イスラエルの技術力は、非常に高い。それゆえ、今まで実現が難しかったようなことをテクノロジーを駆使し、実現する力がある。

加えて、そういったスタートアップを支援する国の環境もあるため、そういったスタートアップの動きは、ますます加速することだろう。

また、これはイスラエル国内での話だが、我々のような日本人にも関係のない話ではない。近年、スタートアップの流れを受け、日本からイスラエルへの就業や留学をする日本人は増えている。

英語や技術力、挑戦する気持ちさえあれば、容易に外国でチャレンジをすることができるようになっている環境がある。

今後ますます、そういった人材の流動性も上がっていくだろう。
また、多くの人がチャレンジをすることをより推奨する文化が形成されていくことだろう。

参考:HAARETZ

(編集:Sports Job Journal 編集部)